大分県・別府競輪場で10月16~19日の4日間、今年2度目のGⅢ開催となる「令和7年度 施設整備等協賛競輪 GⅢナイター」が行われる。

 輪界最高位のS級S班や今年のタイトルホルダーは不在だが山田庸平、地元エースの阿部将大ら強豪が湯の街で熱戦を繰り広げる。ガールズも同時開催で児玉碧衣、太田美穂、石井寛子らスター選手が大会を盛り上げる。

 九州が戦線をリードする。大将格の山田庸平は今年のGⅠでは準決どまり(6月岸和田「高松宮記念杯」と8月函館「オールスター」)も、GⅢは4月武雄と5月武雄の3日制ミッドナイトを制した。近況も大崩れせずに直近4か月(=今期)の競走得点111点は今大会のナンバーワンだ。伊藤颯馬、阿部将大の機動型に前を任せ、後ろは小川勇介、塚本大樹らが控える万全のシフトでVロードを駆け抜ける。

 小川は7月高知でV。8月松戸GⅢは準優勝で、競走得点110点は山田に次いで2番目だ。毎年11月に開催される小倉GⅠ「競輪祭」の選考基準に4日制GⅢ決勝1~3位回数上位者の項目があり、小倉がホームの小川にとってGⅢはとても大事になる。

 塚本は来年2月に地元熊本で行われるGⅠ「全日本選抜」出場を目標に頑張ってきた。11月末の選考期限まで競走得点を上げたい。銘柄級不在の〝鬼の居ぬ間に〟ラストスパートをかける。

 地元エースの阿部は昨年7月の当地GⅢ「74周年」でV、6月の「75周年」で優出とめっぽう強く、声援をパワーに変える。伊藤は落車禍で低迷したが、前走の佐世保で「8割ぐらい戻った」と完全復活の予感がヒシヒシ。地元の大西貴晃、前回武雄Vの中川誠一郎も〝忘れていませんか?〟のレーサーだ。

 中部近畿が「打倒・九州」へ抵抗する。まずは近畿。ダッシュ力に定評ある中釜章成は、2月豊橋GⅠ「全日本選抜」の暴走失格で3か月を棒に振ったが、6月から戦線復帰。当地は昨年の「74周年」で優出とバンク相性も上々。安定感増した藤田勝也と、当地好走する元砂勇雪をガード役に速攻を決める。

 中部は攻め幅が広い柴崎淳がキーマンになる。連戦の疲れが出た前回佐世保は一息だったが、巻き返しは必至だ。重鎮・山口富生や上田国広の差し脚も堅調で、好目標を得た時は車券圏内に顔を出す。

 関東、特に栃茨勢が自力、追い込みのバランス取れた布陣で臨む。機動型では長島大介のまくりが冴えている印象。橋本瑠偉は前回の青森記念で一次予選敗退も、残り3日間は車券に貢献した。追い込みはレジェンド・武田豊樹が前回弥彦で準Vの活躍すれば、ファイター芦沢大輔のさばきは変わらず健在だ。

 その他では南関東は直近4か月の差しの決まり手「12」の新田康仁が好調。2班の渡辺雅也は強気の走りで大物食いを目指す。中国、四国は愛媛の突貫・真鍋智寛の頑張りで堤洋、渡部哲男、三宅達也にチャンスが訪れる。北日本唯一の1班戦士・桜井正孝は孤軍奮闘の走りで上位争いへ。

ガールズの賞金ランキング2位につける児玉碧衣

 ガールズケイリンは児玉碧衣が主役を務める。今年は4月岐阜「オールガールズクラシック」と8月宇都宮「女子オールスター」の両GⅠで優出。一般戦は16Vとし賞金ランキングは2位。10年連続のグランプリ出場に青信号が灯ったが、欲しいのはタイトルで、来月に迫った小倉GⅠ「競輪祭女子王座戦」に弾みを付ける4日間にしたい。

 太田美穂は「女子オールスター」でGⅠ初優出を果たし、一般戦は5Vと昨年(6V)に迫る勢い。爆発力を生かした一撃は魅力十分。昨年のGP覇者・石井寛子は落車禍で苦しいシーズンになったが、勝負強さとレースセンスはガールズ屈指で白旗とは思えない。

 別府を地元同然で臨む南九州支部の那須萌美はタテ脚に磨きがかかり、ここで輝きたい。マーク技術に定評ある当銘直美は自力型が多く、参戦の今回は腕の見せどころ。畠山ひすいと熊谷芽緯のヤングは積極策で目立つ。