福岡県北九州市の小倉競輪場で熱戦を繰り広げてきたGⅠ「第65回競輪祭」は最終日の26日、12Rで決勝戦が行われ、真杉匠(24=栃木)が4番手バックから仕掛けてで優勝。優勝賞金4590万円を獲得した。真杉のG1制覇は8月西武園オールスター以来2回目。また、6日間の売り上げは130億8363万円超で目標の125億円をクリアした。
関東を代表するニュープリンスが大仕事をやってのけた。先手を握った南関勢の後位をキープすると、別線の動きを把握しVゴールを駆け抜けた。8月西武園オールスターに続き今年G1・2本目の栄冠に「自分でもビックリ。まさかです!」と驚きを隠せなかった。
2度目の記念制覇(2022年7月小松島)もそうだったように単騎戦はめっぽう強い。以前に「だって気楽に走れるじゃないですか(笑い)」と話していたが、特別決勝の大舞台でそこまでノビノビプレーができるとは、強心臓にもほどがある。
オールスターは吉田拓矢の番手から取ったもので「うれしかったけど、2本目は自力で取りたい」と新たな目標を掲げていたが、今回は正真正銘の自力で勝利をつかみ「自分じゃないってぐらいうまく対応ができた」と胸を張った。
同県の偉大なるレジェンド・神山雄一郎から帝王学を授かり、実戦では平原康多に鍛えられた叩き上げだ。普段はひょうひょうとしているがレースは熱く、泥くさい。以前に神山から掛けられた言葉がある。「神山さんから『お前まだ焦るなよ。オレがタイトル取ったのは25歳の時だよ』って。あの言葉で気持ちが楽になりました」
神山のおおらかでスマートな部分、平原の最後まで諦めない執念など、明らかに2人の〝遺伝子〟が真杉に宿っている。赤いパンツを履く来年からは関東を背負って立つだけではなく、競輪界のスターとして輝く。