佐世保競輪GⅢ「開設73周年記念 九十九島賞争奪戦」は最終日の17日、12Rで決勝戦(V賞金502万円※副賞含む)が行われ、2月に長崎移籍後、初の地元記念参戦だった荒井崇博(45=長崎)がまくって優勝。2021年11月の武雄以来、17回目のGⅢ制覇を果たした。
気温が4度まで下がった最終バトルは、九州クインテットが堅い絆、アツい走りが凍てつく寒さを吹き飛ばした。もちろん、中心にいたのは荒井だ。
決勝メンバーが決まった3日目準決終了後、九州勢は選手控室で思いの丈をぶつけ合った。「キューちゃん(久島尚樹)を(番手に)回すからには、それなりにしてもらわないといけないし、(伊藤)颯馬もヤル気でやってくれないと、そういう形にはならない。収拾がつかなかったので、俺のわがままだったら全員聞くかなと」と、伊藤―久島―荒井―井上昌己―塚本大樹で九州大作戦の経緯を打ち明けた。
レースは各自が機能した。伊藤は前受けから小林泰正を突っ張り先行策。久島は懸命に番手を死守。展開が紛れた井上は追い上げて荒井とドッキング。塚本も内に切り込み仲間をサポート…。バックから自力にチェンジした荒井は気持ちに応えて、ゴール線を一番に駆け抜けた。
「わがままを言ったからには絶対、1着を取らないといけなかった。優勝できて良かった」
今年のビッグ戦線では苦しんだが、気持ちは2024年に向いている。「来年こそはどういう形であれ、グランプリに出てみたい」。九州輪界のドンはいつまでも輝き続ける。