西武園競輪のナイターGⅠ「第66回オールスター競輪」(優勝賞金5900万円※副賞含む)は20日に最終日を行った。メインの決勝11Rは結束する関東軍団がレースを支配し、吉田拓矢マークから番手まくりを放った真杉匠(24=栃木)が、初のGⅠ制覇を達成した。2着は単騎で脚をためた古性優作、3着は地元の武藤龍生が入線した。

 関東の新プリンスが爆誕!! 真杉は吉田マークからガツンと飛び出し、いの一番にゴール線を突き抜けると、右手を大きく掲げてウイニングランに酔いしれた。

 GⅠ決勝3回目にしての初戴冠だったが、これまでラインの先頭で戦い続けた真杉に「タイトルを獲らせたい」との思いは、関東勢全員の悲願でもあった。だからこそ、吉田は自ら先陣役を志願し、平原康多も「おお、良かった、良かった! お前が取ってくれて本当に良かったよ」とレース後、顔をくしゃくしゃにして真杉の肩を抱き自分のことのように喜んだ。

「正直、仕上がっている感じがなかった。それなのに勝てたのはラインのおかげ。これからは恩返しをしていきたい」

 関東競輪界の系譜をさかのぼるとレジェンド、神山雄一郎の名前を避けては通れない。真杉にとっては同県の先輩であり「雄一郎さん」と慕い、いくつもの助言を授かっている。成績がふるわずに悩んでいた時には「今は焦るなって。俺が初めて(タイトルを)獲ったのは25歳だよ」とサラっと言われたという。

 真杉は焦らず地道に経験を積み重ね、24歳にして初タイトルをゲットした。だが「神山さんは自力で取られたんでしょうね。自分も2本目こそは自力で取りたい」と浮かれる様子もなく、次の目標を掲げた。

 神山、平原と続く〝関東のプリンス〟の名は気高く崇高なもの。この先、果てしなく続く王道を歩み彼らの背中を追い続ける。