奈良競輪場で開催された向日町競輪GIII「開設75周年記念 平安賞in奈良」は28日、最終日を行った。12R決勝は犬伏湧也(30=徳島)が持ち味の強烈なカマシを決めて優勝。昨年10月京王閣以来、4回目のGIII優勝を飾った。
4月にS班に繰り上がってから初めての優勝に、喜びが胸を満たす。率直に「苦しかった」とつぶやいた。
「グランプリも走っていないのにS班になって、結果を出さないといけない立場になって」
2021年のデビューから、まだ若手の立ち位置でになった重責に押しつぶされそうになっていた。
決勝は同学年の佐々木豪と「一撃で決めよう」と狙いを定めた。3つのラインが動く中「しっかりと見極められた」と仕掛けを逃さず、最後は力強く押し切り「叫んでましたね」と笑った。「シャーー!」という雄たけびが古都バンクに響き、それはまた競輪界に犬伏の存在感を示すものだった。
絶好の展開にも差せず2着の佐々木は「あの子、強いわ~」と嘆いたものだが、犬伏としては「いつも差されてるんで、たまには!」と笑って返したもの。吹っ切れた思いで、よりパワーを誇示していく。
とにもかくにも「GⅠで結果を残すこと」が使命と任じている。来月の前橋GⅠ寬仁親王牌が目の前の目標。「優勝できるように、それに賞金の面でも上位に行けるように」と突き進む。
「去年も賞金でこんな位置にいて苦しかったんで。それにS班としてグランプリに出ることも責任だと思うので」