火の国エース・嘉永泰斗がグランプリ初陣だ!

 嘉永は10月前橋で開催された寬仁親王牌を優勝。栄光のGⅠ初制覇で、初のGP出場(12月30日、平塚競輪場)を決めた。九州を、競輪界を背負っていく男の晴れ舞台を前に、本紙評論家でGP出場7回(内1回は中止)の闘将・佐々木昭彦がGP闘争の歴史を濃厚伝授。闘将の思いを注入された嘉永の胸の内はいかに。

 佐々木昭彦(以下、佐々木)寬仁親王牌の優勝、おめでとうございます!

 嘉永泰斗(以下、嘉永)ありがとうございます!

 佐々木 いや~、頑張ってたね。でもまず謝らんといけないのが…。

 嘉永 えっ…。

 佐々木 前橋2日目にトークショーに行っていて、期待する選手はという話で「嘉永泰斗です!」と言ったのよ。

 嘉永 はい。

 佐々木 でも、最終日の決勝のコラムの狙いは犬伏(湧也)にしてしまって…。犬伏の先行一車と思って、嘉永は初のGⅠ決勝やったし。あれはホント悔いが残って…。

 嘉永 ハハハ(笑い)。いや、自分も初めてのGⅠ決勝で獲れるとは思ってなかったですよ。

 佐々木 グランプリ出場に向けては。

 嘉永 練習して、やりたいことも多い感じでしたね。昭彦さんが初めてグランプリに出た時はどうでしたか。

 佐々木 第1回の時は何から何まで別世界やったね。30日は朝の指定練習から2万人くらい来て、最終的には5万人くらいかな。

 嘉永 ええ~っ!

 佐々木 レースではファンのどよめき、出る時の演出とかすごくて。嘉永も味わうと思うけど、絶対に次の年も出たいと思うよ。

 嘉永 初めてだからまだ想像もつかないです。続けて出られるように頑張りたいですね。

 佐々木 九州の中でもリーダー的な立ち位置になるよね。

 嘉永 自分の性格的に口で引っ張っていくタイプじゃないんで、走りを見せて、それに付いてきてくれたらいいなって。

 佐々木 嘉永のいいところは「俺が俺が」じゃなくて、野球の大谷翔平みたいに、プレーで引っ張っていくところだと思うんよね。オーラが出ている。

 嘉永 自分から何か言うのじゃなく、聞かれたら答えるという感じです。

 佐々木 来年2月、地元の熊本全日本選抜をS班で走れるのは大きいよね。

 嘉永 熊本競輪の再開までは長かったですし、再開してからはすぐにGⅠ開催も決まって。周りの人からは「地元のGⅠ、赤いパンツで走ってよ」って言われていたので、それがかなったのがうれしいです。

 佐々木 全日本選抜を獲れば、グランプリ連続出場もすぐ決まるし。

 嘉永 本当に、そこは目標です。

 佐々木 昔ね、井上昌己がグランプリに出た時(2008年)、その開催で部屋が一緒だったんよ。俺は早く寝る方やったけど、昌己は夜遅~く部屋に帰ってきてね。合志(正臣)と一緒にゲームをやっていたみたい。それで優勝したからビックリしたよ(笑い)。ゲームは?

 嘉永 自分はゲームはしないですね、ハハハ(笑い)。自分なりに準備していきます。では、グランプリ頑張って来ますので、一発勝負のアドバイスをお願いします。

 佐々木 これまで優勝された方たちは勇気をもってココというタイミングで仕掛けて、ココというところで思い切り踏み込んで、と走って獲ったと思う。嘉永はそういうところがあるから、しっかり獲ってきてね!

 嘉永 頑張ります!