小田原競輪FⅠ「バリー工業杯争奪戦・サテライト横浜カップ」は6日、初日を迎える。S級では2班のため予選スタートながら、V候補の一人となっているのが2場所連続で優出中の緒方将樹(25=熊本)だ。

 2016年4月の熊本地震で被災し、このほど8年4か月ぶりに再開したホームバンクから進撃は始まった。

 7月20日に再開の日を迎えた熊本競輪再建記念FⅠでは予選1着、準決2着で勝ち上がり、決勝では前を託され、前受けから北井佑季(34=神奈川)を突っ張って先行。地元のエース・嘉永泰斗(26=熊本)の優勝に大きく貢献した。

「僕にできることはアレしかなかった。北井さんも地元ということで忖度してくれたのでしょう。いつもより目が優しかったですから(笑い)」と本人は謙遜するが、その走りには鬼気迫るものがあった。原動力となったのは、地元ファンの後押しだ。

「A級とS級でアベック優勝できましたし、他県の人も『GⅠみたいな盛り上がりだな』と言っていました。若いお客さんも多くなって客層が変わった感じですね。新しいお客さんの応援に、昔からのファンの方も負けじと大きな声でヤジを飛ばして(笑い)。貴重な経験でした」

 地元勢は事前の準備やイベントに大忙しで、大会後はヘロヘロになっていた選手も少なくない。しかし、勢いに乗った緒方は続く弥彦FⅠでも優出。「弥彦神社にお参りに行ったのが良かったのでしょう」とはぐらかしたが、自信をつけたのは間違いない。

 今回の舞台は3・3バンクの小田原。当地は昨年7月以来だが「熊本は3・3に近いバンクなので、そこまで走りを変える必要はない。逃げたい人を逃がしてはダメ。打鐘から行っても500。2周半行く感じで踏む」と勝利へのイメージはできている。

「中4日だけど、やれることはやってきた」

 自信が確信に変わろうとしている。