小倉競輪スペースナイトレースFⅠ「第23回スーパーナイター濱田賞×HPCJC×スピードチャンネル・スカパー杯」が21日に開幕し、7RのS級予選で今年初レースとなった小嶋敬二(54=石川)が宿口潤平との同着で通算820勝目を挙げた。1着での準決進出は直近4場所で3度目と好調だ。
目標の松岡篤哉が包まれて自身は一時、6番手まで下げたものの、最終3角手前で自力にスイッチ。「最後は点数欲しさに頑張りました」と外から豪快にまくった。感触は悪くなかったが、すぐに場内のモニターを確認しても勝利は確信できず「スローを見たら怪しかったから手を挙げるのはやめた」と笑った。
2000年代には高松宮記念杯と寬仁親王牌の両GⅠを2度ずつ制し、50代半ばとなった現在でもS級2班で奮闘する。「広告の入っていないジャージーを着るのは20何年ぶり。自分のを持ってこなくていいから荷物が少なくて済む」と冗談めかすが、一抹の寂しさはあるのだろう。
ただ、石川県を拠点とする大ベテランには頑張らなければならない理由がある。元日に郷土を襲った能登半島地震で輪島市などの沿岸部は津波もあいまって壊滅的な被害を受けた。普段はジョークを連発しているが、震災からの復興への話題になると下がっていた目じりもキリっとなる。
「1年とか2年で復興するような状況じゃない。ボランティアも継続的にしてもらえるようにしないと。馳知事らとも、そういう話をさせてもらった。松井君もやりたいと言ってくれている。僕も支援する側に回って何かしていきたい」
石川県の馳浩知事は自身と同じオリンピアンで元プロレスラー。「松井君」とは巨人やヤンキースなど米大リーグでも活躍した松井秀喜氏のことで、郷土に対する思いは同じだ。
2日目(22日)の準決勝は、町田太我―浅井康太の3番手でS級戦では20年10月の小田原以来の決勝進出を目指す。「今回はすごいメンバーだから」と控えめだが、その奮戦ぶりは被災者の勇気や希望になるはずだ。